Bethelgeuse’s blog

最近のneuroscience系科学論文を簡単なコメントつきでアップ

神経幹細胞移植と活性化プロテインC投与の組み合わせによる脳組織修復の促進

Nature Medcineより。活性化プロテインC (activated protein C) は血中のプロテアーゼで、抗凝固作用があります。この活性化プロテインCは皮膚にできた傷の治りを促進する作用があり、例えば糖尿病で足にできた潰瘍の治りをよくすることが報告されています。このような活性化プロテインCの組織修復作用に着目し、神経幹細胞移植と組み合わせて、虚血によって壊死したマウスの脳の修復を促進する試みについて報告されました。活性化プロテインCは、変異体3K3A-APCを用いることで、抗凝固活性を失っていますが、他の生理活性は失わないように工夫されています。そのため、抗凝固作用を持つことによって起こりうる出血のリスクを軽減しています。マウスに虚血を起こして、1週間後から神経幹細胞移植と活性化プロテインC投与によって治療を行った結果、マウスの脳の修復が促進し、虚血によって起こる運動障害も改善しました。

3K3A–activated protein C stimulates postischemic neuronal repair by human neural stem cells in mice

http://www.nature.com/nm/journal/vaop/ncurrent/full/nm.4154.html