Bethelgeuse’s blog

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多発性硬化症を対象としたS1P1受容体modulator amiselimodの第2相臨床試験結果

Lancet Neurologyより。現在田辺三菱製薬が開発中のS1P (スフィンゴシン-1-リン酸) 1受容体modulator amiselimod (開発コード名MT-1303) の再発寛解多発性硬化症を対象とした第2相臨床試験結果が論文報告されました。現在、多発性硬化症ではfingolimodがS1P受容体modulatorとして承認されていますが、S1P1受容体以外に対する選択性が乏しく、服薬開始時に心拍数低下などが認められるため、服薬直後から6時間はバイタルサインの確認が必要です。これらの副作用は、S1P3受容体を介していることが知られており、amiselimodはS1P1受容体の選択性を高め、S1P3受容体にはほとんど作用しないようにされています。MOMENTUMと名付けられた臨床試験では、再発寛解多発性硬化症患者415名が参加し、主要達成項目としてMRIスキャンによる脳内炎症が設定されました。その結果、amiselimodの服用によって脳内炎症が減少し、fingolimodや、他の開発中のS1P受容体modulatorとは異なり、服用開始時の心拍数の低下は認められませんでした。

Safety and efficacy of amiselimod in relapsing multiple sclerosis (MOMENTUM): a randomised, double-blind, placebo-controlled phase 2 trial

http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(16)30192-2/fulltext