Bethelgeuse’s blog

最近のneuroscience系科学論文を簡単なコメントつきでアップ

多発性硬化症治療薬フマル酸ジメチルおよびlaquinimodの作用メカニズムに関する知見

最近多発性硬化症の治療薬のメカニズムに関する報告が2つありました。多発性硬化症の治療薬には免疫系の細胞に作用するものが多いですが、実は詳細な分子メカニズムが明らかでないものもあります。

一つ目は、フマル酸ジメチル (DMF) で、DMFは再発寛解多発性硬化症で、経口薬として使用されています。Science Signalingの報告では、DMFがPKCθキナーゼとCD28の相互作用を阻害し、T細胞の活性化を抑制するというメカニズムが明らかになりました。

Chemical proteomic map of dimethyl fumarate–sensitive cysteines in primary human T cells | Science Signaling

二つ目は、laquinimodでテバ製薬が多発性硬化症ハンチントン病を対象に臨床開発しています。PNASでテバ製薬の研究者から報告があり、転写因子aryl hydrocarbon receptor (AhR) の活性化を介して、laquinimodが多発性硬化症のマウスモデルで薬効を発揮していることが示されました。

Laquinimod arrests experimental autoimmune encephalomyelitis by activating the aryl hydrocarbon receptor