Bethelgeuse’s blog

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自閉症スペクトラムの末梢神経障害が引き起こす行動レベルでの異常

Cellより。自閉症スペクトラム患者の約60%が触覚を含む体性感覚の異常があります。また、自閉症スペクトラムのマウスモデルと言われるMecp2, Gabrb3, Shank3およびFmr1遺伝子変異マウスでも同様に触覚異常が認められます。マウスにおいて、触覚になどに関わる末梢の体性感覚ニューロン特異的にMecp2やGabrb3を欠損させたところ、 発生段階から各遺伝子を欠損させることで、マウスの社会性行動異常や不安様行動が現れました。さらに、全身性にMecp2を欠損したマウス (自閉症スペクトラムの中でもレット症候群の動物モデルと言われます) に対して、体性感覚ニューロンのみでMecp2の発現を回復させたところ、Mecp2欠損マウスの社会性行動異常や不安様行動が改善しました。しかしながら、他の異常、例えば致死率、記憶障害、運動障害は改善しませんでした。通常、社会性行動異常や不安様行動は中枢神経の異常と考えられますが、自閉症スペクトラムにおいては、末梢神経の異常が社会性行動異常や不安様行動に関係している可能性があります。

Peripheral Mechanosensory Neuron Dysfunction Underlies Tactile and Behavioral Deficits in Mouse Models of ASDs

http://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(16)30584-0