Bethelgeuse’s blog

最近のneuroscience系科学論文を簡単なコメントつきでアップ

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

抗LINGO-1抗体opicinumabの急性視神経炎 (acute optic neuritis) 患者を対象とした臨床第2相試験結果

Lancet Neurologyより。多発性硬化症では脱髄が起きることで運動障害などが現れます。抗LINGO-1抗体opicinumabはオリゴデンドロサイト前駆細胞の分化、その結果として再ミエリン化を促進することが動物試験によって明らかとなっています。多発性硬化症で多く…

ゴーシェ病やパーキンソン病 (PD) の分子治療ターゲット 補体受容体C5aR1およびグルコシルセラミド合成酵素 (GCS)

NatureとPNASにGBA変異によって発症するゴーシェ病やPDの治療ターゲットになりうる分子が報告されました。ゴーシェ病は、GBA遺伝子の変異によって、GBAがコードするグルコセレブロシダーゼ活性が低下あるいは欠損することによって発症する遺伝病です。また、…

睡眠中のシナプスの構造変化: 覚醒時に比べて睡眠中はシナプス結合が減弱

Scienceより。睡眠中のシナプスの構造変化について解析した論文が2報同時に発表されました。1報目の論文では、電子顕微鏡によってシナプスの微細構造を三次元的に再構成しながら解析し、樹状突起のポストシナプスと軸索のプレシナプスが接している部分 (axon…

エクソーム解析によるパーキンソン病 (PD) のリスク遺伝子の同定

Genome Biologyより。エクソーム解析は、全エクソン解析ともよばれ、遺伝子のエクソン部分を網羅的に解析する方法です。1148名のPD患者と503名の健常者で、エクソーム解析が実施され、27個の遺伝子についてloss-of-functionにつながるバリアントがPD患者で見…

抗Nogo-A抗体ozanezumabの筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 患者を対象にした臨床第2相試験結果の論文報告

Lancet Neurologyより。Nogo-Aは神経再生を阻害する因子として知られ、GlaxoSmithKline社がALS患者を対象に、抗Nogo-A抗体ozanezumabの臨床開発を進めていましたが、既に開発は中止となっています。2015年にALS患者を対象とした試験で、有効性を見いだせなか…