Bethelgeuse’s blog

最近のneuroscience系科学論文を簡単なコメントつきでアップ

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

多発性硬化症を対象としたS1P1受容体modulator amiselimodの第2相臨床試験結果

Lancet Neurologyより。現在田辺三菱製薬が開発中のS1P (スフィンゴシン-1-リン酸) 1受容体modulator amiselimod (開発コード名MT-1303) の再発寛解型多発性硬化症を対象とした第2相臨床試験結果が論文報告されました。現在、多発性硬化症ではfingolimodがS1…

抗うつ薬SSRI服用初期に不安が惹起されるメカニズム

Natureより。抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) は、脳内のセロトニン量を増加させることで抗うつ作用を発揮します。しかしながら、服用し始めの初期の副作用として、不安を惹起することが知られていました。脳内のセロトニンが増えること…

動物個体全体の透明化uDISCO

Nature Methodsより。組織を透明化する様々な方法が報告されていますが、有機溶媒系の透明化法3DISCOを改良したultimate DISCO (uDISCO) という方法が報告されました。この方法では、有機溶媒による透明化の過程で、組織が元の大きさに対して最大で65%縮小し…

神経幹細胞移植と活性化プロテインC投与の組み合わせによる脳組織修復の促進

Nature Medcineより。活性化プロテインC (activated protein C) は血中のプロテアーゼで、抗凝固作用があります。この活性化プロテインCは皮膚にできた傷の治りを促進する作用があり、例えば糖尿病で足にできた潰瘍の治りをよくすることが報告されています。…

家族性ALSの原因遺伝子C9orf72の発現を制御する転写伸長因子Spt4

Scienceより。家族性ALSの原因遺伝子として、最も頻度が多いのがC9orf72という遺伝子の変異です。この遺伝子の変異は、他の神経変性疾患、前頭側頭型認知症 (FTD) の原因でもあります。C9orf72の変異体には、繰り返し配列GGGGCCが挿入され、その結果、繰り返…

家族性ALSの原因遺伝子の一つUBQLN2の変異体が起こす疾患の分子メカニズム

Cellより。先週はCellとScienceに、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) に関する分子レベルの報告がありました。家族性ALSはたくさんの遺伝子が報告されていますが、その中の一つUbiquilin-2 (UBQLN2) の変異によって、分子レベルでどのような異常が起こるのか、が明…

RNAseqを使った単一ニューロンの投射解析MAPseq

Neuronより。ニューロンが脳内の他の部位に投射しているのを解析する方法は、特定のニューロンに蛍光タンパク質などを発現させる方法が一般的です。今回の報告では、ニューロンに特定のバーコード配列 (人工的な塩基配列) を発現させた後で、脳を細かくスラ…

脳での神経新生のPETイメージング

Journal of Neuroscienceより。細胞が分裂するときに取り込まれるチミジンアナログに18F標識した[18F]FLTを使って、ラット脳内の神経新生の様子をPETでイメージングする方法が報告されました。[18F]FLT単独ではイメージングできるほど脳内への集積が認められ…

23andMeの遺伝子データを使った大うつ病のゲノムワイド関連解析 (GWAS)

Nature Geneticsより。遺伝子検査などのサービスを実施している23andMeのデータを使って、数万人規模の大うつ病患者のGWAS解析をした結果が報告されました。その結果、OLFM4、TMEM161B–MEF2C、MEIS2–TMCO5A、NEGR1などの15の遺伝座が大うつ病と相関している…