Bethelgeuse’s blog

最近のneuroscience系科学論文を簡単なコメントつきでアップ

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ヒスタミン受容体H3逆作動薬GSK239512の再発寛解型多発性硬化症を対象とした臨床第2相試験

Journal of Neurologyより。ヒスタミン受容体H3のシグナルを抑制する逆作動薬GSK239512は、アルツハイマー病、統合失調症および多発性硬化症で臨床開発されていましたが、現在はグラクソ・スミスクライン社の開発候補品からははずれています。今回、多発性硬…

α-Synuclein抗体PRX002臨床第1相結果の論文化

Movement Disordersより。α-Synucleinはパーキンソン病などの脳内で観察されるレビー小体の主な構成成分です。アルツハイマー病の二大病変はアミロイドβとtauで、それぞれに対する抗体が臨床試験されていますが、パーキンソン病でも脳内病変の構成成分α-synu…

アルツハイマー病態に対して保護的に働くTauのリン酸化部位pT205

Scienceより。アルツハイマー病 (AD) 患者の脳内では、神経原線維変化という病理像が認められます。そこには過度にリン酸化されたTauが蓄積していることから、これまでTauのリン酸化の亢進は病態と関係していると考えられてきました。しかしながら、今回、Ta…

Tau凝集阻害薬LMTMのアルツハイマー病 (AD) 患者を対象にした臨床第3相試験

Lancetより。ADの二大病変、アミロイドβおよびTauのうち、Tauを狙った治療法として最も先行していたTau凝集阻害薬LMTM (メチレンブルー誘導体) のmild to moderate AD患者を対象にした臨床試験の結果が論文として発表されました。主要評価項目として、ADAS-C…

筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 患者にbrain-computer interfaceを埋め込んだ臨床報告

New England Journal of Medicineより。ALSでは、脊髄の運動ニューロンが障害され、その結果、その神経支配を受けている筋肉が動かせなくなり、例えば手足などを自分で動かすことができなくなります。病気の進行が進むと、手足を動かす以外にも、話すこと、…

多発性硬化症患者でのMMP活性のイメージング

Science Translational Medicineより。多発性硬化症の患者では脳血液関門が破綻した部位から、脳実質内に白血球が浸潤し、炎症反応を惹起します。著者らは、多発性硬化症の動物モデルを用いて、破綻した脳血液関門からの白血球の浸潤を検出する上で、matrix …

グリシン再取り込み阻害薬bitopertinの統合失調症患者を対象にした3本の臨床第3相の結果

Lancet Psychiatryより。Bitopertinは、グリシントランスポーターを阻害することで、脳内のグリシンを増加し、統合失調症で低下していると考えられているNMDA受容体の機能を改善することが期待された薬剤でしたが、薬効が十分に得られず、Roche社は既に開発…

凝集アミロイドβ (Aβ) 抗体aducanumabのカルシウムイメージングによる薬効評価

Journal of Neuroscienceより。8/31付けNatureに、臨床試験データが発表されて注目を集めた、凝集Aβ抗体aducanumabのアルツハイマー病 (AD) モデルTg2576マウス (家族性AD変異が入ったアミロイド前駆タンパク質APPを過剰発現) を使った薬効評価について新し…