Bethelgeuse’s blog

最近のneuroscience系科学論文を簡単なコメントつきでアップ

脊髄性筋萎縮症 (SMA) の治療を目指したオリゴヌクレオチドの改善

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS) より。SMAはSMN1という遺伝子に変異が起こり、SMNタンパク質が機能しなくなることによって、筋委縮に伴う運動失調が起こる中枢性の疾患です。この機能しないSMN1の代わりに、SMN2という遺伝子のスプライシングを変化させることによって、SMNタンパク質を増やす試みが臨床試験でなされています。そのスプライシングを変化させるために、オリゴヌクレオチドが用いられるのですが、オリゴヌクレオチドを末梢投与によって脳に移行させるのは容易ではありません。今回の報告は、SMN2遺伝子にスプライシング変化を起こすオリゴヌクレオチドに、組織移行性を上げるようなペプチド修飾を加えて、末梢投与 (静脈内投与) によって脳にオリゴヌクレオチドを移行させることに成功しています。SMAモデルマウスに修飾オリゴヌクレオチドPip6a-PMOを投与することで、目的としたSMN2からのタンパク質発現が増加し、病態マウスの生存延長などの作用が認められました。

Systemic peptide-mediated oligonucleotide therapy improves long-term survival in spinal muscular atrophy