Bethelgeuse’s blog

最近のneuroscience系科学論文を簡単なコメントつきでアップ

アルツハイマー病態に対して保護的に働くTauのリン酸化部位pT205

Scienceより。アルツハイマー病 (AD) 患者の脳内では、神経原線維変化という病理像が認められます。そこには過度にリン酸化されたTauが蓄積していることから、これまでTauのリン酸化の亢進は病態と関係していると考えられてきました。しかしながら、今回、Tauのリン酸化の部位の中には、AD病態に対して抑制的に働く部位が存在することが、ADモデルマウスを使った実験から明らかになりました。その部位T205は、MAPキナーゼの一つp38γによってリン酸化されます。ADモデルマウスAPP23マウスからp38γ遺伝子を欠損させると、認知機能など、病態が悪化しました。逆に、APP23マウスに活性化p38γを過剰発現させると病態が抑制されました。このp38γの作用は、Tauを介し、さらにTauのT205のリン酸化が重要であることも、分子生物学的手法によって示されています。

Site-specific phosphorylation of tau inhibits amyloid-β toxicity in Alzheimer’s mice | Science