抗CD20抗体ocrelizumabの多発性硬化症を対象とした臨床第3相試験の論文発表
New England Journal of Medicineより。多発性硬化症の臨床試験としては画期的といえる抗CD20抗体ocrelizumabの結果が論文発表されました。多発性硬化症は再発寛解型と進行型に分けられ、進行型は一次進行型と二次進行型にさらに分けられます。この一次進行型多発性硬化症の治療薬はなく、これまでにも再発寛解型多発性硬化症で承認されている治療薬で臨床試験が行われてきましたが、ことごとく失敗してきました。CD20は成熟した Bリンパ球に発現している膜表面分子で、ocrelizumabはCD20に結合し、免疫抑制作用を示します。一次進行型多発性硬化症患者732名を対象にした臨床第3相試験で、12週間ごとに実施される運動機能指標が主要評価項目におかれ、ocrelizumabはプラセボに比較して有意に運動機能指標の悪化を抑制しました。この一次進行型多発性硬化症患者に対して初めて成功した臨床試験とともに、再発寛解型多発性硬化症を対象にした臨床試験の結果も発表され、既存薬インターフェロンβ-1aに比較して、症状の再発を有意に抑制した結果も発表されました。
Ocrelizumab versus Placebo in Primary Progressive Multiple Sclerosis (一次進行型多発性硬化症)
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1606468
Ocrelizumab versus Interferon Beta-1a in Relapsing Multiple Sclerosis (再発寛解型多発性硬化症)
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1601277